「守りの要」は「仕組み」で築く。〜ブランド価値を支える組織運営の実践〜
これまで、私たちはワランティソリューションズの「公正さ」という哲学(菅氏)、そしてそれを実現する特許取得の「システム」(髙橋氏)について紐解いてきました。しかし、どんなに優れた哲学やシステムも、それを実行する「人」と「組織」が伴わなければ意味をなさないでしょう。
顧客体験がブランド価値を直接左右する現代、クライアントの”顔”となるカスタマーサポートの品質は、いかにして維持・向上されているのか。今回は、同社の組織運営を担うカスタマーマネージャーの坂口裕介(さかぐちゆうすけ)氏に、品質の源泉である「組織論」の実践について話を伺いました。
ワランティソリューションズ株式会社
カスタマーマネージャー 坂口裕介氏
1. なぜ「組織論」が、クライアントの「ブランド」を守るのか
本日は組織運営のプロフェッショナルである坂口さんに、CSマネジメントについて伺います。クライアントはなぜ、委託先である当社の「組織論」にまで関心を持つ必要があるのでしょうか。
—— 委託先のCSチームの質が、クライアントのブランドに与える影響をどのようにお考えですか?
坂口氏(以下、坂口) 結論から申し上げますと、私たちはクライアントの看板を背負っており、BtoBtoCモデルの中でCS担当者がクライアント企業の「顔」となる役割を担っています。
エンドユーザーにとって、電話対応をする私たちがそのブランドの窓口となるからです。お客様の製品故障時、最初に接触する私たちの対応によって「このメーカーは信頼できる」と評価されるか、「今後は購入を控えよう」と考えるかが決まります。
当社では「お客様がどのような点にご不満をお持ちなのか、どのような解決を求めていらっしゃるのか」まで丁寧に伺い、目の前の問題だけでなく、お客様が本当に求めている解決策を模索することを徹底しています。
—— 坂口さんの経歴と、当社に入社された理由を教えてください。
坂口 2002年の大学卒業後、複数のBPOサービス会社で経験を積み、最大230席、約500名規模のセンター立ち上げや、AI導入プロジェクトのリーダーを務めてきました。
BPO業界では約3年ごとにクライアントが入れ替わるため、蓄積されたノウハウが失われがちです。そこで、各社で培ったノウハウを一つの組織に集約できる可能性を求め、2023年に当社へ入社しました。入社当初は電話応対を担当し、現在はサブマネージャーとして長期保証と保険業務の運営管理を担当しています。
2. 「仕組み」が利益を生む。損害率15pt改善を実現した組織運営
企業ブランドを守るためには、チーム全体が安定して高品質な対応を提供することが不可欠です。そのための仕組みについてお伺いしました。
—— 企業ブランドを守るためにカスタマーサポートとして取り組んでいる組織運営について教えてください。
坂口 まず、チーム全体が安定して高品質な対応を提供することが不可欠です。しかし、私たちの目指す組織運営は、単なる品質維持(守り)に留まりません。優れた組織は、クライアントの事業利益に貢献する”攻め”の力にもなり得ます。
その象徴的な事例が、あるクライアント様と取り組んだ「損害率改善プロジェクト」です。過去の膨大な対応事例を分析し、査定ルールを再定義。その内容を全員が正確に運用できるまで情報共有を徹底した結果、損害率を前年比で約15ポイントも改善することに成功しました。
これは、私たちの組織運営が、エンドユーザーの満足度向上だけでなく、クライアントのコスト構造そのものを改善できるポテンシャルを持つことの証明です。
—— では、こうした成果はどのような仕組みから生まれるのでしょうか。
坂口 高品質を「再現」するには3つの仕組みが必要だと考えます。
仕組み① 失敗の”芽”を摘む: 重大事故を未然に防ぐ情報共有フロー
当社では、小さな気づきもしっかり拾い上げる専用システムを導入し、クライアントを巻き込むような大きな事故を未然に防いでいます。
以前、コミュニケーターから備品に関する些細な報告を受けていましたが、業務の忙しさを理由に対応を後回しにした結果、重大な問題へと発展したことがありました。
現在は専用のスプレッドシートで、何らかの気づきがあれば記録し、管理者が確認後、対応方針と進捗状況を明示するフローを全員で確認できる仕組みにしています。「自分の指摘がきちんと受け止められ、検討されている」と実感できる関係性により、情報共有が活発になっています。
仕組み② 品質の”ムラ”をなくす: 個人のスキルに依存しない解決方針
当社では、応答率98%、6秒以内という迅速な応答、そして1件あたり約15分の通話時間を維持しています。これらは全員が安定してパフォーマンスを発揮できるような仕組みづくりの成果です。
重要なのは、幅広いスキルレベルの方が活躍できるように設計することです。たとえば、パソコンに不慣れだった方を2年間で頼れる存在にまで育て上げた実績があります。
スタッフには「指摘や疑問点は私たちにとって重要な改善材料です」とお伝えし、「不明点があれば何度でも一緒に確認しましょう」という姿勢で、マニュアルを継続的に改善しています。ミスは必ず仕組みによって解決し、個人の努力だけに頼っていては再発防止はできない、というのが当社の方針です。
仕組み③ プロを”育て続ける”: 山本五十六に学ぶ、人が育つ文化
私が指針としているのは、山本五十六の「やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、ほめてやらねば、人は動かじ。話し合い、耳を傾け、承認し、任せてやらねば、人は育たず」という言葉です。
指導の際も「こうしてください」と決めつけるのではなく、「私ならこう対応します」「こうした提案も効果的かもしれません」といった伝え方を心がけています。毎週のミーティングで「今週は特に報告事項がありません」と発言されたことは、過去3年間でわずか1〜2回だけです。常に現場の声が業務改善に反映されています。
3. 業界への提言:CS運営における課題と解決策
—— CS担当者のモチベーション維持について、ヒントはありますか?
坂口 3点お伝えします。第一に、感謝の見える化です。1日1回は従業員が笑顔になれる機会を設け、「ありがとうございました」などの感謝の言葉を積極的に伝えることを心がけています。
第二に、明確なビジョンの共有です。エンドユーザー・会社・クライアント・従業員のステークホルダー全員が満足できる状態を目指し、全員が同じ方向を向いて努力できる環境を整えています。
第三に、改善提案を評価する制度も効果的です。従業員の意見や提案がしっかりと評価される環境を整えることが重要です。
—— マニュアルが形骸化してしまう課題への対処法は?
坂口 マニュアルは継続的に改善すべきものという認識が重要です。
たとえば、保険金で「お支払いできません」と一方的に通知していた方法をWeb上で最後まで詳細な説明を行うルールに変更したところ、電話でのクレームはほとんどなくなりました。
先ほども述べましたが、損害率改善プロジェクトでは、過去事例をもとに査定ルールを明確化し、定期的な情報共有で前年比約15ポイントの改善を実現しました。管理者自身が実践し成果を示し、現場スタッフとも成功体験を共有することが大切です。
まとめ
哲学、テクノロジー、そして人。
3回にわたるインタビューで明らかになったのは、ワランティソリューションズの強みが、決して単一の要素ではないということ。
「公正さ」を追求する確固たる哲学。
それを「圧倒的なスピード」で実現するテクノロジー。
そして、その品質を安定的に供給し続ける人と組織。
この三位一体の経営こそが、クライアントのブランド価値を長期的に守り、時には事業利益さえも改善する力の源泉となっています。延長保証の委託先を選ぶことは、もはや単なる業務のアウトソースではありません。共にブランドを育て、未来を創るパートナーを選ぶことなのです。
ワランティソリューションズ株式会社
カスタマーマネージャー 坂口 裕介氏インタビュー
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